性行為感染症(Sexually Transmitted Disease)

STDは性行為によって感染するすべての疾患を意味し、性病(いわゆる狭義の性病とは梅毒、淋病、軟性下疳、そけいリンパ肉芽腫の4つである)を含み、性病のほかにクラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、AIDS,マイコプラズマ、トリコモナス、芥鮮、毛虱、ウイルス性肝炎、カンジダ症なども含まれる。このうち日常の臨床でよく見かけるもの、大切なものを解説する。

1.梅毒

危険因子として梅毒患者や不特定多数との性行為もしくは類似行為、梅毒親子間感染、新鮮血の輸血、医療従事者などがある。初感染後約3-4週で局所に小豆粒大の初期硬結を認める。それは約6週目で消失するが、放置すると3ケ月以降に第2期梅毒である、ばら疹、丘疹、膿庖疹、脱毛などがおこる。

早期発見さえすれば、薬物療法で約2週間で治癒する。内服及び注射で昔はペニシリン系、現在はマクロライド系、テトラサイクリン系が使用されている。

梅毒血清反応は感染後約3週間で陽性となる。治癒しても10-20年は陽性を示す。

初期硬結 1 2

2.淋病

性交及びその類似行為の後感染すると、外尿道口、外子宮口の発赤や膿性の分泌物をみとめ多くの場合痛みを伴う。症状として排尿時痛、瀕尿、膿性帯下、外陰掻痒感などがある。最近ペニシリン耐性淋菌もあるが抗生物質療法で治癒する。近年風俗の多様化により扁桃腺や歯肉、直腸粘膜の病変も報告されている。

3.尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス感染による疾患で初め米粒大、放置するとカリフラワー状の肉芽が外陰部に単発または多発する。近年このウイルスが子宮頚部癌との関連が報告されている。レーザー療法、電気焼却、5FU軟膏、坑ウイルス剤の投与で治療する。

カリフラワー状重症例 1 2

4.性器ヘルペス

ヘルペスウイルス氈i口唇)(性器)型のうちの型によるものだが、性風俗の多様化により両方のウイルスで感染する。粘膜にウイルスが侵入すると水庖、潰瘍を形成する。治癒後も体内のウイルスは神経節に潜伏感染し再活性化されると再発を繰り返す。抗ウイルス剤アシクルビルの内服、外用、注射で治療する。神経節内のウイルスを撲滅するため皮膚病変消失後も治療を続けなければならない。

女性 1 2 3 4 5 6 7 8

男性 1 2 3 4 5 6 

幼児

5.クラミジア

クラミジアトラコマチスという病原体による感染で、宿主細胞のみで分裂増殖を繰り返す微生物であり40時間で細胞内で成熟し細胞膜を破壊とともに基本小体を放出する。男性は単なる尿道炎であることが多いが女性の場合子宮頚管、内膜、卵管、卵巣そして骨盤腹膜炎となり慢性炎症で卵管閉塞や通過障害をおこし不妊症の大きな原因となっている。テトラサイクリン、ミノサイクリン、オフロキサシン、クラリスロマイシンの長期投与で治癒する。

6.軟性下疳

軟性下疳菌の感染によるもので性交後12-48時間後に1-2cm大の浅い潰瘍が発生し強い疼痛がある。各種抗生物質で治療する。

感染後72時間の例

7.毛虱(けじらみ)

陰毛のみに寄生する虱で性交後12-24時間で激しい掻痒感とともに虱の虫体1-2mm,卵0.5mmを肉眼で確認できる。毛根に卵をうみつけるため、剃毛のうえスミスリンパウダーの塗布により治療する。

8.トリコモナス

トリコモナス原虫により感染し男性はほとんど無症状であるが女性は泡状の帯下、外陰掻痒があり悪臭を放つ。フラジール腟錠にて治療する。

9.AIDS(後天性免疫不全症候群)

これについてはいまだ有効な治療法が無く発病すれば致命的疾患であるので、どうすれば予防できるか、裏からみればどの様な行為が安全か危険かについて解説する。

エイズの病原体は? ウイルスです。風邪のウイルスと一緒で変異、変態を繰り返すためワクチンの製造が難しい(不可能という意見もあり)

エイズの起源は アフリカの風土病という説があり、猿と共通の病気といわれていたが現在は否定されている。有力な感染経路としてアフリカ-ハイチ-アメリカというラインがある。1970-80年代のハイチの移民受け入れ政策によりアフリカからの移民が数万単位で移住しそのなかに感染者が多数いた。もともとハイチは同性愛に寛容でホモセクシュアルが多数存在し、肛門性交により感染者が増えてきた。この土壌とアメリカとの経済格差に目をつけた旅行業者がアメリカ人のホモ対象にハイチ買春旅行を企画しそれが大当りし1980年代アメリカのホモの話題は、ハイチ行った?、となり数万人がハイチ人と交わり感染して帰国、アメリカ国内でホモの間で感染が爆発的に増加した。後述するが肛門性交は普通の性交の100倍のエイズ感染力がある。また最近ではキューバよりの政治難民と称するアメリカ亡命者のほとんどが刑務所に入り切れない凶悪犯またはエイズ感染者であるという。アメリカで爆発的に感染したエイズは男性同性愛、薬物常用者、売春婦に多く見られる。

それでは何が危険で何が危険でないのか?エイズウイルスの体液中の含有量は唾液を1とすると精液100,血液50,膣分泌物10,汗ほとんど0である。すなわち肛門性交はウイルス高含有の精液が肛門や直腸(ここの粘膜は膣に比べて強度が10分の1である)の傷口から侵入し感染する。次に感染力の強いのは血液-血液で注射器の回しうちや輸血も高い頻度で感染する。異性間性交では男から女がその逆の10倍多い。というのは、膣に傷があるとかなりの確率で最高ウイルス濃度の精液が直接血液に触れる。傷がなくても月経中は傷があるのと同じであり、そうでなくても子宮内膜からウイルスが侵入しえることは容易に想像がつく。女から男は特別男に怪我がなくては感染しにくい。コンドームで100パーセント予防できる。キスはどうか?最近キスでの感染例が発表されたがそれは稀な例であり唾液中のウイルスが歯肉炎、口内潰瘍から感染したというのであるが普通の唾液内濃度では感染しないというのが医学的常識であるからこれは特異な例である。つまり口内に傷があるときデイープキスは危険、とぐらい認識すればよいであろう。もっと危険なのが口内に傷があるときのオーラルセックス(外人にはblow jobといったほうが通じる)はキスの100倍以上危険である。それ以外はすべてほとんど安全である。たとえば、かるいキス、飲み物の回し飲み、衣服の貸借、混浴、面前でのくしゃみ、同じ蚊に刺されること、同居生活などはすべて安全である。まちがった感染への恐怖が差別、人権無視などにつながっている。例えば感染児童と同じ学校の生徒の親が感染児童の登校禁止を訴えたりすることなどはその最も顕著な例である。厚生省は国民にこのような啓蒙をしているであろうか?答えはノーである。だから専門家以外の医師でさえまちがった知識で感染の恐怖を発言し、偏見ばかりが独り歩きしているのではなかろうか?

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