アフターピルとは?
最近の文献では120時間後まで有効という結果が出ています(後述)
経口避妊薬(ピル)とは女性ホルモン、即ちエストロゲンとプロゲステロンの合剤を毎日少量ずつ飲み続ける事によって偽妊娠状態をつくり出し排卵を抑制することにより避妊を行うものです。
これに対しアフターピルとは性交渉のあと72時間以内(早い程よい)にホルモン投与(大体ピルの4-8倍)を行って受精卵の着床を阻害して妊娠を阻止しようとするものです。この事後避妊方法は昔から専門家の間では知られた方法ですが、日本ではほとんど知られておらず普及もしていません。その原因として
1,産婦人科教育の現場ではあえてこれを教えることはタブーとされ専門医師でも知らない。
2,専用の薬剤が日本で市販されていない
などが考えられますが、性犯罪の先進国?アメリカでは望まない妊娠が全妊娠の30パーセント以上あり強姦なども日本より桁違いに多くアフターピルを使用する頻度が高いのが現状です。日本も性生活、犯罪の欧米化により最近アフターピルが脚光を浴びてきました。
日本国内の文献を検索してもアフターピルに関する記述はほとんどなく海外の文献によると、具体的には女性ホルモン合剤を大量投与する、というのが概要なのですが、ホルモンの感受性に個人差が大きく、ある人ではホルモン中毒になる(多すぎる)のにある人では少なすぎて無効(つまり妊娠してしまう)なことがあるので、中毒にならない範囲の最大量を投与することが肝要です。女性体内に侵入した精子は一定の条件では24時間以内に受精し72時間以内に着床、すなわち受精卵が子宮の内部にはりつきます。そのとき体内の女性ホルモン濃度が異様に高いと子宮内膜に着床できず脱落してしまいます。また着床直後でも体内ホルモン濃度が高くなれば脱落してしまうことが知られています。
副作用として大量ホルモン投与による中毒症状、はきけ、めまい、生理不順等に注意して使用すれば有益な治療法と当院では考えております。
当院の使用成績
過去4年間に約350例の症例があり、性交後72時間以内での妊娠例は1例もありません。ただ子宮外妊娠(卵管妊娠)が1例ありました。これは仕方の無いことで、子宮内膜に着床できないような薬理作用がこれにはあるので、卵管等の子宮外での着床を阻止するはたらきはないからです。
アメリカの文献によると、性交後12時間まで97パーセント、24時間まで95パーセント、36時間まで92パーセント72時間まで89パーセントというサルでの実験結果があります。いずれにせよ100パーセントでないもののかなりの高率で妊娠を阻止できます。
当院では子宮内洗浄とセットでプリベンを処方しています。また作用の確実性の検証のため10日後の尿中ホルモン測定を奨励しています。
当院ではアフターピルの扱いをしておりますので御要望の方は電話もしくは電子メールで御連絡ください。
2001年6月加筆
120時間後でも有効というEvidenceが文献に発表されました
この項については、ピルとのつきあいかた、を、参考にさせていただきました。rurikoさん、ありがとうございました。
American Journal of Obstetrics and Gynecology
March 2001 Volume 184 Number 4
Effectiveness of emergency contraceptive pills between 72 and
120 hours after unprotected sexual intercourse
Isabel Rodrigues, MD, MPH [MEDLINE LOOKUP]
Fabienne Grou, MD [MEDLINE LOOKUP]
Jacques Joly, PhD [MEDLINE LOOKUP]
Laval, Quebec, Canada
Abstract TOP
Objective: This article reopens the issue of a medical practice
that has been well established for more than three decades by
proposing an extension of the period during which treatment with
the “morning-after” pill is currently prescribed. The objective
is to determine the effectiveness of the regimen of Yuzpe and
Lancee when it is administered between 72 and 120 hours after
sexual intercourse.
Study Design: We conducted an observational study comparing 2
groups of women for whom the regimen of Yuzpe and Lancee was administered
after unprotected sexual intercourse. One group (usual time frame
treatment group) sought consultation within 72 hours (n = 131),
and the other (extended time frame treatment group) after 72 to
120 hours (n = 169).
Results: The pregnancy rate was 0.8% for the <72-hour group
and 1.8% for the 72- to 120-hour group. The effectiveness rate
varied from 87% to 90% for the <72-hour group and from 72%
to 87% for the 72- to 120-hour group. In both groups the 2 tests
showed that emergency contraceptive pills significantly reduced
the risk of pregnancy.
Conclusions: Women should be encouraged to seek consultation as
quickly as possible after unprotected sexual intercourse. However,
if the usual time limit (<72 hours) has expired, the so-called
“morning-after” pill should be recommended if an intrauterine
contraceptive device is not available. Emergency contraceptive
pills have a favorable success rate after 72 hours, with a pregnancy
rate that is significantly lower than would be expected if no
contraceptive were administered. (Am J Obstet Gynecol 2001;184:531-7.)
和訳
目的: 本報告は、現行のモーニングアフターピル処方期限の延長を提案するものであり、それによって30年間以上にわたって十分に確立されている医療に問題を提起するものである。性交の72から120時間後に処方された場合のYuzpe−Lancee法の有効性を決定検証することが研究の目的である。
研究方法: 私たちは、Yuzpe−Lancee法が無防備の性交の後に投与された2群の女性を比較する観察研究を行なった。1つは72時間以内に受診した群(通常時間枠内処方群)である(131例)。そしてもう一つは72から120時間後に受診した群(時間枠拡張処方群)である(169例)。
結果: 72時間以内の処方群で妊娠率は0.8%であった。72〜120時間後処方群では1.8%であった。72時間以内の処方群では87%から90%までの有効性率であり、72〜120時間後処方群では72%から87%までの有効性率であった。両群の階2乗検定は、緊急避妊薬が明らかに妊娠の危険を減少させたことを証明した。
結論: 女性は無防備の性交の後できるだけ速く受診するように推奨される。しかし、通常の時間期限(72時間以内)が過ぎてしまっても、避妊リング(IUD)が挿入されていないない場合にはいわゆるモーニングアフターピルが勧められるべきである。緊急避妊薬は72時間後でも高い成功率を呈示しており、緊急避妊薬が行われない場合の予想妊娠率と比較して明らかに低い妊娠率となる。
以上の文献より、当院では患者さんとのインフォームドコンセントが成立した場合、120時間まで延長して、アフターピルの投与をさせていただくこととします。